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ウクライナ軍事情勢とロシアによる核の威嚇



9月22日時点のウクライナ情勢

9月7日~9日にかけて、ウクライナ軍の東部のイジュームへの攻勢によりロシア軍は戦線を後退させた。


戦線を下げたロシア軍はクピャンシクを南北に流れる障害度の高い河川を全面に防御を継続。


武器弾薬を置いたまますぐさま後退したロシア軍だが、ウクライナの一部の部隊が追撃をかけている状況だ。


また、南部に目を転じるとザポリージャからヘルソンの東西のラインの攻撃は依然続いている。ウクライナ軍は、8月の下旬から9月の上旬にかけてこの地域の橋梁や指揮所、補給拠点に対して長距離火力や特殊部隊によるゲリラ活動によりピンポイントで破壊を続けていた。


ウクライナ軍が多くの勢力を向ける傍ら、ロシア軍も主力を正面に転用している。

現在ウクライナが部分的に地域を奪回しているが、今後も激しい戦闘が継続するだろう。



下記は23日までの東部の戦況の拡大図である。

河川を挟んで対峙するロシア軍に対し、ウクライナ軍が3正面から作戦を遂行しているのが分かる。


正面が100kmを超え、山などの地形も無いのでロシア軍としては戦闘力を分散し防御を継続するには困難を極めるはず。


逆にウクライナ軍は戦力を集中して陽動などをかけつつ、手薄な配備上の弱点を突いて一挙に勢力圏を拡大することが出来るだろう。


この正面の地域はやろうと思えばいつでも奪回が可能であるといえる。


ロシア軍の戦力不足

現在、ロシア軍は相当な戦力不足と推定されている。


米国をはじめとするインテル機関の情報では戦争開始以降のロシア側の損耗は7~8万人にのぼるといわれこれは当初戦力17万人の約半数。恐らく追加で数万人が投入され、かつ、23日のISWの分析でもチェチェンのカディロフの軍が既に2万人を投入しているところをみると、20数万人のうちの7~8万人、つまり30%程度が損耗しているということである。


また、プーチンが先日署名した追加動員のための大統領令では政府筋によると、120万人を動員する計画だ。

(含むモスクワで1万6千人、第2の都市サンクトペテルブルクで3200人招集)


これに反対するためロシア各地でデモが発生し、国外脱出を図る男性があふれかえっている。

航空機の料金は9月23日現在で通常3万円の料金が37万円まで高騰。徴兵を逃れるために自ら腕の骨を折る者まで発生している始末である。



また、9月21日の国民向けの演説では

「領土に危険性があれば、持っているすべての武器を使用する予定だ。これは、はったりではない」

とし明確に核による脅しを開始した。恐らく念頭においているのは0.3kt~10ktの「戦術核」の使用、またはザポリージャ・南部ウクライナ原発への攻撃によるメルトダウンだろう。




また、これに連動する形で9月23日~27日には投票が行われる。

地域は現在ロシア軍が占領しているルハンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州の4州である。

驚くべきは投票のやり方で、なんと最終日の投票所における投票以外は兵士が住居を周り個別に投票用紙を回収するというのだ。


日本でいうような投票の秘密も何もない、まさに出来レースと言えるだろう。


全般

9月のウクライナ情勢は膠着状況から大きく戦況が動いた。


8月下旬から9月上旬にかけて行われた東部の奪回作戦は見事成功し、広大な国土を奪回。米軍の武器・弾薬の支援もさることながら、インテル機関による情報提供が大きく役に立った。また、南部における攻勢から時間差を設けての手薄になった東部への攻撃は当に陽動と奇襲のお手本だったといえる。


これに対し、戦力が死活的に不足したロシア側は予備役120万人という大規模な戦力補充の試みを推進。世論の反発や男性の国外脱出を促す結果となっている。


戦況的に不利になったロシアは、これ以上の反撃には核兵器を使用すると脅し、また、それに被せる形で支配地域の住民投票を開始、現占領地の政治的・法的固定化と既成事実化を確固たるものにしようとしている。


核による威嚇

ウクライナを特にリアクションしていないが、核による脅しや住民投票により奪回を諦めるのはその後の中国や北朝鮮への影響を考慮しても悪手にしかならない。


なぜならば、「核兵器を使用する」と脅せばどんな主張でも無抵抗で通ってしまうという誤認を国際社会に与えてしまうからだ。


これは戦後の既存の国際秩序、とりわけ核抑止の崩壊を意味する。

冷戦中、いや、ソ連崩壊以降も侵攻や核戦争は、通常兵力~核兵器までの各種兵器、特に核戦力のバランスにより保たれていると信じられてきた。


今回セオリー通りロシア軍は戦力の劣るウクライナへ攻め込んだわけであるが、この時点でウクライナ軍単体に対する核の使用は意識の範囲外であった。

(2月~3月にかけてプーチン大統領はNATOが介入した場合核を使用する旨主張したがこれはあくまで対核保有国の政策)


通常戦力に対する核の威嚇または使用はこれまでの抑止の思考の範囲から外れる。

いずれにしても今後のウクライナ軍の作戦が将来の核兵器に対する考え方の土台になることは間違いない。


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