NHKの面白いサイトを見つけた。
カーソルを操作すると2月24日のロシアの侵攻開始から現在に至るまでの支配地域の変遷が確認できるものだ。
下に3月28日と12月8日の支配地域の状況を張り付けた。
前者はロシアの支配地域が最も大きかった時のもので、それ以降で最も支配地域が狭まった時のものである。
※今後作戦の推移次第で更に狭まる可能性あり。
私自身、インターネットを通じてこれらの状況を毎日のように確認していたわけだが、3月の時点ではウクライナの多くの領土はロシアに支配されクリミアのように固定化されるものと見積もっていた。
軍事の一般常識としてロシア軍は米国、中国に次ぐ軍事大国。ソ連時代には最強の軍隊を有する米国とわたり合っていた。
欧州では2番目に大きな陸軍勢力を有するウクライナ軍だが、ロシアと比較するとその差は歴然。
如何にウクライナ人の士気が高かろうと、これを埋めることは出来ないはず。
更にいえば、2月24日の侵略開始以降、ウクライナ軍は有効にロシアの侵攻を止めることは出来ていないかったと認識していた。北部からキーウに向けての進軍は狭い道でロシア軍が勝手にスタックして渋滞するなど自爆したことが幸いして、首都への本格的侵攻は阻止出来ていたが風前の灯だった。
西部では第2の都市ハリキウが占領され、南部も要塞マリウポリで籠城するも周辺は直ぐに占領された。南部も同様でザポリージャなどの要点は悉く奪われた。
そんな中、戦力を分散し補給線が延び切ってしまったロシア軍は態勢を立て直し、本来の目的である南部の回廊の構築と支配を念頭に作戦を変換。ウクライナからすれば首都陥落のピンチを乗り切ったわけだ。米国からの軍事支援も続々と到着した。最初は携帯用の対空火器であるスティンガーや対戦車火器のジャベリンだったが、その後はカミカゼドローンとも呼ばれるスイッチ・ブレードや155mmの榴弾砲、最終的にはHIMARSまで提供され相当な戦力が整備されたと言える。
最近ではロシアのインフラに対するミサイル攻撃を阻止すべき対空システムや地域を奪回するための戦車を送る動きもある。
ロシアはロシアで、ウクライナからの大規模反転攻勢を受け、西部のハリコフ州を失ったタイミングである9月30日頃に支配地域の4州において住民投票を実施。もちろん、投票自体は出来レースなので体裁を繕う以外の意味はないが、4州を一方的に併合してしまった。
11月以降は生活インフラに対する執拗なミサイル攻撃を継続。これにより、断水、停電、ガスの断絶が常態化し、厳しい冬を迎えるウクライナ国民の大きな苦痛を与え続けている。
まさに第2次世界大戦中にドイツのヒトラーが行ったロンドン空襲の如く、ウクライナ国民の継戦意志を挫くための試みだが一定の効果はあるようだ。
他方でロシアもミサイルが尽きてきた。現在は核兵器搭載用のミサイルから核兵器やその関連部品を外して使用したり、イランや北朝鮮から大量に買い付けてこれを使用しているとされる。
9月以降招集している30万人の予備役は15万人はまだ訓練センターにいるとされ今後投入される見込みだ。
ウクライナは米国から無尽蔵の支援をうけ、ロシアは国内の若者を犠牲にしながら侵攻を続ける。まるで、2次大戦中のイギリスとドイツの関係のようだが果たして今後どうなるのか。
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